Sunday, January 31, 2010

Nap Cafe



  糸島に行くと決めた時から、昼食はこの店のパスタと決めていた。前にも紹介したが、去年の秋に食べて私はこの店のオイルパスタが好きになったのである。
 山から下り、海岸沿いの道をお店目指してひたすら歩く。しばらく歩くと遠くに店が見えてきた。シーズンオフの海岸は人気もまばらであり、開いているかどうか不安だったが、ドアを開けると女性の店員がひとりストーブの前でギターの練習をしていた。私に気付くと練習を止めて「いらっしゃいませ」とにこやかに迎えてくれた。
 海が見える窓側のカウンターに腰掛けリュックを下ろす。店員がストーブを私のそばに持ってきてくれる。メニューを見せてもらうが、迷わずオイルパスタを注文する。パスタが出来上がるまでビールを飲んで待つことにし、以前もここで飲んだ龍馬ビールとミックスナッツを注文する。
 龍馬ビールとは、現在は日本で製造されているようだが、元々はオランダ産のビールらしく、龍馬の他にも西郷隆盛や土方歳三など明治維新に活躍した十二人のビールがあるらしい。何故、オランダのビール会社がそんな物を作ったか知らないが、味はハイネケンに似ていて結構美味しい。
 その龍馬ビールの瓶を手に持ち、一気に喉に流し込む。客は私一人。目の前は見渡す限り玄界灘の群青の海が広がっている。次第に店内にニンニクの焦げる香ばしいかおりが漂ってくる。店員がパスタを作りながら私に話しかけてくれる。このお店は6年前にオープンしたらしく、彼女もここから少し離れたとある町から6年間毎日車で通い続けているらしい。駐車場にはぽつんと一台ジープが駐めてあった。
 「一昨日は黄砂が降って、空が少し黄色かったんですよ。」とフライパンを振りながら彼女が私に教えてくれる。ビールを飲みながら私も海を見つめてみる。冬の裏日本特有のどんよりとした重たい空が、海に低く横たわっている。彼女は6年間この店の大きな窓から、この広大な海を眺め続けていることになる。うららかな春の日も凍てつくような冬の日も、四季折々の海を彼女は6年間見続けてきたのである。その6年間、色んなことがあったのだろうけど、ここからの景色は何も変わらず彼女を励まし続けてきたのだろう。私は彼女の話しを聞きながら、勝手にそんなことを思った。
 ようやくパスタが出来上がった。話しを止めてフォークを手にする。ビールはもう飲み干していた。左手に見える二見が浦の鳥居の前で写真を撮っているカップルが目に入る。やっぱり大盛りにすれば良かったなと、ちょっとだけ後悔する。時刻はもう1時になろうとしていた。









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2 comments:

sumiretti.com said...

こんばんは♪
「龍馬ビール」&「アーリオ・オーリオ」
と目の前に広がる玄界灘、
美味しそうですね☆

いちむじんのギターの音色に癒されますね!

bonkley said...

この店はいつも暇そうにしていて寛げるのが
気に入ってます。
パスタも美味いし、眺めはいいし、いい店ですよ。