Sunday, March 30, 2008

jamp


  人形小路の箱の中

  ソガさんのギターが何故か切なく僕等にのしかかる。

  もう半分を生きてしまった僕等の背中に。

  昔、少年だった僕等の背中に。

    

桜を待つ


 水曜日ぐらいから桜のことが気になりだした。週末の天気はどうかと予報を見れば日曜は雨、土曜日は晴れだが生憎の仕事である。この週末を逃せばもう見頃を過ぎるのではないかと不安になりだした。今朝起きてカーテンを開けたらやはり予報通り雨が降っている。しょうがなく傘をさして舞鶴公園まで行ってみることにした。
 舞鶴公園の桜は思ったよりも開いておらず、三分咲きぐらいだった。通りすがりの老人が来週の日曜ぐらいが見頃だろうと言っていた。私はちょっと安心して、中学校の校門へと続く道に足を進めた。この道は去年の秋によく来て、落葉の写真を撮ったところだ。去年の秋、ベンチの上には色とりどりの落ち葉があった。
 来週の日曜は晴れて欲しい。穏やかな日差しの中でこのベンチに腰掛け、舞い散る桜を眺めていたい。飽きるまで眺めていたい。



Sunday, March 23, 2008

眼鏡


 君に言わせれば、これも顔の一部なんですよね。


Saturday, March 22, 2008

記念写真


 妻が帽子を買った記念に一枚。

 帽子屋さんの大きな鏡の前で撮りました。

崎陽軒と中央軒

 写真は横浜崎陽軒の焼売である。昨夜東京出張の帰りに羽田でお土産に買って帰った。
 我が郷里(佐賀県鳥栖市)にも中央軒という駅弁屋さんがある。中央軒も昔から鳥栖駅で焼売を販売しており、焼売では東の崎陽軒・西の中央軒と並び称されるている。初めて崎陽軒の焼売を食べた時、子供の頃に食べていた中央軒の焼売の味を思い出した。崎陽軒の焼売は昔の中央軒の焼売を彷彿させる味なのである。
 中央軒の焼売の思い出は小学校の遠足の思い出に繋がって行く。父親が国鉄職員だった友人のTが、遠足にいつもこの焼売を持って来ていた。それが羨ましくて、私はいつもお裾分けをもらっていた。Tは焼売の他にも、庭に植わっていたニッキの木の根を持って来ており、帰り道ニッキの木の根をしゃぶりながらよく帰った。
 中央軒の焼売はその後、パッケージも味も変貌して行く。近年になって復刻版が出たのは昔の味を懐かしむファンが多かったせいだろう。買ってきた崎陽軒の焼売を食べながら、5年前に亡くなったTのことを思い出したのだった。 

Thursday, March 20, 2008

椿


 ついさっきまで枝にあった花が、次の一瞬何の前触れもなく

 ボタッと地面に落ちる。

 椿は散るのではなく、落ちるのです。

Tuesday, March 18, 2008

卒業


 駄目なことの一切を、時代のせいにしないで

 生きてゆきなさい。


Sunday, March 16, 2008

リコーダー

 久しぶりの連休だったが、風邪をこじらして寝込んでいる。熱はあまりないのだが、喉が痛く悪寒がする。どうやら扁桃腺が腫れているようである。
 昼前、喉の痛みもようやく落ち着いてきた。布団から抜け出しリビングの椅子に腰掛け、まだ朦朧とする中、娘たちが宿題をするのを眺めていた。
 しばらくすると、下の娘が宿題の最後の仕上げにリコーダーを吹き出した。「かりかりわたれ」という曲らしいのだが、歯切れいい音が朦朧とする脳を刺激する。我慢して聴いていたら上の娘が、うるさいから子供部屋で吹けと言い出した。私も同感だったのだが、一生懸命リコーダーの練習をしている娘に、父親として「うるさい」とは言えない。
 すると下の娘は手を止めて、子供部屋は寒いし、第一自分は宿題をしているのであって、姉にとやかく言われる筋合いはないと言い返した。どちらのいい分も間違ってはいない。仕方なく私は、「トイレだったら寒くないし、音もきれいに聞こえるよ」と提案したら、下の娘はあっさり「そうだね」と言って、リコーダーと教科書を持ってトイレに入って行った。
 間もなく遠くから「かりかりわたれ」が聞こえてきた。私と上の娘は心地よく聞こえてくる「かりかりわたれ」を笑いながら聴いた。何曲か吹いて、最後に下の娘は「エーデルワイス」を吹き終え満足そうにトイレから出てきたのだった。

Sunday, March 09, 2008

春の雨

 義父の見舞いに家族で行きました。義父はここ数年入退院を繰り返しています。病院の面会室で家内は義父と話し込んでいました。私はと言うと、家内の横で寝てしまいました。
 家に帰って近くの文房具屋に下の娘と紙粘土を買いに行きました。家内の誕生日に、紙粘土で小物入れを作ってやるらしいのです。帰りに雨が降り出しました。春の雨です。乾いた大地に染み込んでいくような雨です。
 風呂から上がってベランダで煙草を1本吸いました。表の通りの傘をさして歩く人たちを眺めながら。雨は今も降り続いています。しとしとと心地よい音を立てながら。

BARの朝


 ついさっきまで小さな箱の中では、満更でもない人生の

 取るに足りないことが、議論されていたのです。

 例えば、クッキーとビスケットの違いはどこにあるのかとか。

Sunday, March 02, 2008

カフェ・ラテ


 僕はちょっと照れ臭くなって、辺りを見回したのだった。


パトロール

 この1週間多忙を極めた。月・火は東京、水曜日に福岡に戻り、金・土また東京で打ち合わせを行い、昨夜遅く帰ってきた。ようやく休みとなった今朝、2週間ぶりに大濠公園を散策した。ダウンジャケットを着て行こうかと思ったが、もうそこまで寒くない。昨年家内が買ってくれた黒のセーターを着て行くことにした。
 3月に入って暖かくなったせいか、大濠公園はジョギングする人たちも増えたようだった。いつも通りパン屋で焼きたてのパンを買って、ベンチに腰掛け水鳥たちを眺めながら、まだ暖かさが残るアンパンを頬張った。朝陽に照らされ、背中が徐々に暖かくなっていく。かじかんだ手を缶コーヒーで暖めながら、鳥たちの写真を撮った。
 公園を一回りして自宅に戻った。撮ったばかりの写真をパソコンにダウンロードし整理していたら、ようやく家内が起きてきた。写真を眺めながら家内と話をしていたら、このマンションを買った時に世話になった営業のM君の話になった。良かったら今日にでも来てもらって、食事でもしようかということになり、早速M君の携帯へ電話をしてみた。久しぶりだったが、あいにくM君も仕事が忙しく今日は都合が付かないとのことだった。少しばかりお互いの近況を話していたらM君が、大濠公園は散歩されていますかと私に尋ねた。私は散歩ではなくて、パトロールをしているのだと言ったら、相変わらずですねと受話器の向こうで笑っていた。
 でも、散歩も日課になるとパトロールをしているような気になっていく。異常があったら困るのだが、変化には期待をする。花が咲いて散って、また別の花が開く。渡り鳥が来てそしていつの間にか去っていく。季節の変化を私はパトロールしながら探しているのである。