私の中で三大炒麺と言えば、やきそば、皿うどん(太麺)、そして焼きビーフンになる。これ以外に炒麺で何があるのかと聞かれると、少なくとも博多では焼きうどん、焼きチャンポン、焼きラーメンが挙げられる。
三大炒麺の中でどれが一番好きかと言われると甲乙つけ難いが、やきそばや皿うどんでは胃に重たすぎる時、そんな時はちょっとライトな焼きビーフンがうってつけである。先週日曜日、近くの港のお祭りに行った帰り、ちょっと小腹が空いたので近所の中華屋で食べて帰った。
そう言えば、東京に居た時、中華屋で焼きビーフンのメニューをあまり見かけなかったような気がする。福岡の中華屋だったら必ずと言っていいほどメニューに焼きビーフンはあるが、関東地区に展開する中華レストラン「バーミヤン」や関西地区中華の覇者「餃子の王将」でさえ焼きビーフンはない。
これは私の推測だが、日本の中華街のほとんどは広東系だが、長崎中華街のみは福建系らしい。ビーフンの発祥を調べると福建省付近のようであり、だから長崎から広がった九州の福建系中華屋にはビーフン料理があるのではなかろうか。逆に言えば、メニューを広げて、もしそこにビーフン料理があったならば、その店は福建系と言えるのではないか。
もし、あなたが中華屋で焼きビーフンのメニューを見かけたら想像して欲しい。その店の創業者は長崎中華街で修行をした人、あるいは長崎福建系の流派に連なる人だと言うことを。焼きビーフンを食べながら、そんな日本における中華の系譜をたどるのも、ちょっと面白いと思う。