Saturday, January 02, 2010

イルミネーション



 年末実家へ帰った際、友人が企画運営するイルミネーションを家族で見に行った。一昨年から地元商工会議所の有志を集って始めたイベントらしく、イルミネーションはペットボトルやCD等をリサイクルで使用、イベント会社には頼まず全て手作りで運営しているとのこと、駅前まで買い物に行った際に立ち寄ってみた。
 差し入れに鯛焼をぶら下げ事務所を尋ねると、友人は長靴にジャンバー、頭にはニット帽を冠り完全防備で待機していた。プレハブの事務所の中には、子供たちからの感謝の手紙や写真などが貼られており、友人が電話をかけている間、私はその手紙や写真を見て回った。
 点灯開始は午後5時半。友人の電話が終わると私たちは外に出た。寒々とした公園の樹々に、一斉に明かりが灯され、冬空にそのリサイクル用品で作ったイルミネーションが優しく輝く。手作りでよくここまで作り上げたものだと感心させられる。と同時に、停滞する地域社会に何とか活気を取り戻させようとする、彼らの情熱や意気込みを強く感じた。
 イルミネーションの写真を撮り終えると、友人が家に寄っていけと誘ってくれた。厚かましくも家族四人、公園近くの彼のマンションにお邪魔することにした。部屋に上がり奥さんが入れてくれたコーヒを飲みながらふと外を見ると、眼下にそのイルミネーションが広がっている。私はベランダに出てその景色を眺めてみた。池の真ん中にペットボトル製の青く輝くお城が見える。お城から左右に渡る橋にはオレンジの灯りが点灯し、池の回りの樹々にもイルミネーションが施されている。彼は毎晩ここに立ってこの風景を眺めているのだろう。自分たちの作品の出来映えに頷きつつ、来年の構想も描きながら眺めているのだろう。
 もちろん彼は地域社会のために活動しており、彼らのボランティア精神は尊敬に値する。彼らの活動が起爆剤となって街が活気づくことを私も願うのだが、そのご褒美がベランダからのイルミネーションの眺望と考えるなら、それはちょっと羨ましくもあり、素敵なご褒美だと言わざるを得ない。冬の夜空の下、彼が妻とベランダに立ち、自分たちが苦労して作ったイルミネーションを二人で眺めている。そんなロマンチックな光景を私は勝手に想像した。
 友よ、今年は私にも手伝わせてくれないか。そしてまた、ベランダから眺めさせてくれないか。ホットウイスキーでも飲みながら。



 
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