娘たちが集めたキャンディーをテーブルの上に広げていた。口の広い瓶を二つ持ってきて、ふたりで数をかぞえながら瓶に詰めていた。キャンディーを分け合う娘達を見ていたら、「火垂の墓」を思い出してしまった。
アニメの「火垂の墓」で幼い節子は、大事そうに缶入りのサクマのドロップスを持っていた。正確に言えば節子が持っていたのは”サクマ式ドロップス”であって”サクマドロップス”ではないらしい。知らなかったが、世の中には「佐久間製菓株式会社」の”サクマ式ドロップス”と「サクマ製菓株式会社」製造の”サクマドロップス”の二つが存在するらしいのである。
もともとこのふたつ会社は戦前「サクマ製菓株式會社」というひとつの会社であった。しかし、戦時中砂糖の供給が止まり、会社の解散を余儀なくさせられる。終戦後、社長の息子と番頭がそれぞれ会社を興したため、2社のサクマが誕生することになる。サクマ式ドロップスの方は通称赤缶といわれ、サクマドロップスの方は緑缶と言われるらしく、サクマ式ドロップスの方が本家とされているらしい。
サクマの話しはこのくらいにして「火垂の墓」に戻るが、叔母の家を飛び出した兄妹は池のほとりで生活をするようになる。親が残した貯金を下ろして食いつなぐが、やがて貯金は使い果たし、ドロップキャンディーの代わりに節子は、おはじきを缶に入れて舐めるようになる。
悲しすぎて二度と見たくないアニメである。しかしながら、この兄妹にちょっと違和感を覚えるのも事実である。叔母の家で辛抱していれば、少なくとも節子の死は免れたはずであり、その判断が兄には出来たはずだと思う。ただこれは、アニメの視聴者としての視点で感じたことであり、実際に戦争体験が無い私の意見はナンセンスかもしれない。
娘たちのキャンディーがおはじきに変わる事がないように、世の中の平和を祈らなければいけないのである。
フェイク、フェイク、フェイク!
1 day ago
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