Sunday, January 28, 2007

後輩

 金曜の夜、会社の後輩二人を引きつれ西中洲に行った。とあるバーに入り二人から仕事や上司に対する不満を聞いた。聞いてもどうしてやることもできない。いつかお前たちの時代が来るから、それまで辛抱しろとだけ言った。楽しく生きることを考えろ。遊ぶことを考えろ。そうすれば仕事も面白くなるはずだ。
 バーで2杯ほど飲んで今度は近くのライブハウスに行った。時間はもうとうに12時を過ぎている。割り勘でタクシーで帰ることにしてラストまで飲むことにした。ステージでは70年代の洋楽を中心にバンドが演奏していた。ボーカルの女性がショッキング・ブルーの「ヴィーナス」を歌いだした。マスターが何か歌いたい曲があればどうぞ歌ってくださいと言ってきたので、思い切って歌うことにした。ステージに立って歌いだしたら、後輩たちの顔は晴れ晴れとししてきた。日ごろカラオケでしか歌っていないから、ステージで注目されるのが新鮮で刺激的だったのだろう。調子に乗ってどんどん歌いだした。
 結局3時まで飲んで歌って店を出た。表に出たら急に冷え込んでいた。後輩のひとりが私に、「この2週間上司に色々言われストレスが溜まっていましたが、今夜でスッキリすることができました。また一緒に連れて行ってください。」とお礼を言った。お礼を言われることはない。ただ酒飲んで馬鹿話をしてやっただけである。「また今度誘うな。」と言ったら、急にもうひとりの後輩が「間違って他人のコートを着てきてしまった!」と言い出した。何のことはない、後輩のコートを着ていたのはこの私だった。人通りの絶えた西中洲の路地裏で、三人の笑い声がこだました。   

  

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