夢は漫画家になること。下の娘はそう言って、漫画ばかり書いている。才能があるのかどうか、親として見極めてあげないといけないのだろうが、私にはよくわからない。「漫画家になったらパパがマネージャーしてあげるよ。」といつも言うのだが、「結構です。」とにべもなく断られる。きっといいマネージャーになれると思うのだが。
私の子供の頃の夢は何だったろうか。実家が国鉄の線路の近くだったので、子供の頃よく線路端で遊んでいた。汽車が特に好きだったわけではないが、貨物列車を見るのは好きだった。
ディーゼル車に引っ張られ延々と貨車が続く。停止すると前の方から順に連結器がガチャンガチャンと音を後ろの車両にリレーし止まっていく。しばらく止まったかと思うと、また連結器のガチャンという音がして動き出す。一番最後の車掌車には作業員がひとり、窓から遠ざかる景色を眺めながら煙草を吸っている。そんな光景を子供の頃よく見ていたが、私はその車掌車に乗っている作業員に憧れていた。運転手ではなく、煙草を吸って景色を眺めている作業員になりたかったのである。偉くなりたいとも、金持ちになりたいとも、子供の頃はあまり思っていなかった。ただ、のんびり生きていければいいと思っていた。
娘が漫画家になれるのか、漫画家になる夢を捨てずに大人になっていくのかは分からない。しかし、夢は大きい方がいい。もし、漫画家になって、もし売れたら、銀座で寿司をご馳走しておくれ。その日がきっと来る事を父は信じているから。
Blogged with the Flock Browser
No comments:
Post a Comment