タンポポ。漢字では蒲公英と書く。葉がライオンの歯のような形をしていることから、英語ではDandelion(Dande:歯、lion:ライオン)というらしい。
伊丹十三の映画で「タンポポ」という作品があった。 物語は、山崎努扮するトラックの運転手が、主人公のたんぽぽが営む潰れかけたラーメン屋を再興させる話だが、途中本筋とは全く関係のない食にまつわるエピソードが挿入されている。
スパゲッティーを音を立てて食べる外国人。臨終間際の女房が最期の力を振り絞って作る炒飯。フランス料理に精通する冴えないサラリーマン。あたかも、グルメを自称する人たちをあざ笑うかのようで痛快である。中でも、役所広司扮するチンピラが、死に際に山芋ばかり食べた猪の腸詰めの話を、女にして聞かせるシーンがあるが、想像しただけで美味そうであり、伊丹十三の食に対するセンスの良さが光る名作だと思う。
ご承知のように伊丹十三は、スクープされた不倫疑惑の潔白を死をもって証明すると遺書を残し、1997年12月、ビルから飛び降り自殺する。他殺説もあるとおり、何とも納得しがたい死に方ではるが、いずれにしても帰らぬ人となってしまったことは事実であり、私たちは伊丹映画の新作を2度と見ることができなくなったのである。
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