Friday, April 07, 2006

乃木坂

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 同僚達と六本木で別れ、ひとり乃木坂駅に向かって歩いていた。六本木交差点から遠ざかるにつれ、人通りもまばらになり、気がつくと私と中国人と思われるビジネスマンと二人で並んで歩いていた。その中国人ビジネスマンはこざっぱりした感じで、どことなくラサール石井に似た優しそうな顔つきだった。お互いをちょっと意識しながら歩いていたら、その男の方から私に声を掛けてきた。
「今晩は、寒いですね」
「そうですね、ちょっと今日は冷えますね」
最初は私もちょっと警戒しながら喋っていたが、聞けば某国際機関に勤務している中国系シンガポール人のエリートである。警戒心は徐々に薄れ、シンガポールのことなど話しながら歩いていたら、乃木坂の駅を通り過ぎてしまった。袖振り合うも他生の縁、ちょっと1杯やろうということになり、通りのカフェに入りワインを二人で飲んだ。
 シンガポール人Rさんのたどたどしい日本語に、9割方日本語の私の英語。Brotherは?と聞かれたのをBlood typeと勘違いし「B type」と答え、Rさんに不思議な顔をされたりしたが、それでも家族のことやガールフレンドのこと、アジアのことや中国の民族のことなど筆談も交えながら会話は弾んだ。
 ふとRさんが私の顔をしげしげと眺め、あなたは韓国人に見えると言った。日本人の顔つきも、中国系、韓国系、フィリピン系と様々だが、自分では中国系あるいは蒙古系ではないかと思っていた。そうRさんに話したら、Rさん曰く私の顔は中国系ではなく韓国系だと言う。おそらく私の遠い祖先は、北部九州・西日本に多い朝鮮半島から渡来した弥生人なのだろう。
 最後にメールアドレスを交換し別れた。ひとり乃木坂駅に向かいながら、13年前に妻と訪れたシンガポールのことを思い出し、また行ってみたいなと思ったのであった。

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