京都で食べた一杯のうどんを紹介したい。場所は五条橋のたもと。屋号を佐乃竹と言う。京都駅に着いた我々が目指した最初の店である。
烏丸五条駅から歩くこと15分。ようやく店に着いたがまだ暖簾が出ていない。準備中だと分かってはいたが、恐る恐る入り口の戸を開けると、仕度をしていた店主に中へ通された。
テーブルに腰掛け、こじんまりした古めかしい店内を一通り見回して、きつねうどんを注文する。
「京都はきつね言うても、甘揚げではありません。大阪で言うきざみが京都ではきつねになります。」
店主が私たちに説明してくれる。うどんが出来るまで店主と話す。創業を聞くと「ここに店を出して140年以上になります。」とさらりと店主が言う。驚いていると店主は更に「幕末の頃にはあったらしいです。」と付け加えた。うどん屋ひとつを取っても京都は歴史があるのである。
そうこうしている内にきつねうどんが出来上がった。写真がその一杯である。小振りのどんぶりの一面には、きざみ揚げと葱が散らばせてある。口をつけると深みのあるまろやかな出汁に、わずかに山椒の香りがする。余計な味は長い歴史の中で淘汰され、たどり着いた一杯である。みんな無口になって一気にうどんをすすり上げた。
食べ終わって勘定をしてもらう。お代はなんと480円。140年の歴史の味を480円で食べていいのだろうかと、少し申し訳なく思いながら店を後にしたのだった。
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2 comments:
Bonkleyさん
はじめまして、こんばんは。
140年の老舗の味。480円は何か得した気がしますね。
近くを通ったら、いってみたいと思います。
Ondoyamaさん
はじめまして
コメントありがとうございます。
京都にお住まいなんですよね。
僕は30年振りに京都へ行って、すっかり
魅了されて帰ってきました。
来年も行こうと思っていますので
色々教えてください。
盆暮
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