Sunday, February 10, 2008

能古島の芽かぶ

 娘たちにせがまれ近くにある商店街の百円ショップに行った。買い物を済ませ、帰りに酒の肴を買おうと商店街の路地裏にある魚屋をのぞいてみた。小さな魚屋である。いつもスーパーに行くときその魚屋の前を通って行くが、立ち寄ったことはなかった。マグロとタコの刺身が美味しそうだったので買って帰ろうとしたら、パックに入った芽かぶに目が止まった。店のおばちゃんが言うには、芽かぶは今が旬らしく、この時期を逃すと食べられないらしい。おばちゃんは私に、是非食べて欲しいと言うのである。よく見ると能古島産と書いてある。おばちゃんのその「是非食べて欲しい」という一言と、能古島産の文字に惹かれ買う事にした。
 能古島は博多湾の中央に浮かぶ、周囲12km、人口800人の島である。西区の渡船場から10分程度で行け、福岡ではコスモスの名所としても有名でもある。子供の時分は父に連れられ海水浴に行ったりもしていた、私にとっては思い出の島である。
 井上陽水の曲に「『能古島の片想い』という曲がある。波音が静かに聞こえてきそうな名曲である。ちょっと紹介したい。


 能古島の片思い  井上陽水

 つきせぬ波のざわめく声に 
 今夜は眠れそうにない
 浜辺に降りて裸足になれば
 とどかぬ波のもどかしさ
 僕の声が君にとどいたら
 ステキなのに

 つめたい風は季節を僕に
 耳打ちすると逃げてゆく
 時折り砂はサラサラ泣いて
 思わず僕ももらい泣き
 僕の胸は君でいっぱいで
 こわれそうだ

 遠くに見える灯りは
 南へ行く船の幸せかな

 悲しいだけの今夜の気持
 なにかをすればまぎれると
 星屑なんか数えてみても
 涙でそれも続かない
 君が僕の中にいるかぎり
 波の声で僕は眠れない
 本当なんだ


芽かぶは生姜醤油でかき混ぜ食べた。ネバネバした中にコリコリとした食感が伝わっていく。焼酎を片手にこの曲を口ずさんでみた。「南に行く船の幸せかな〜」。幸せな土曜の夜が過ぎていった。


 

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