有刺鉄線の向こうに造船所がある。私は時々、頼まれもしないのに造船所まで行って
船の出来具合を確かめる。今度生まれ変わったなら、造船所で働くのもいいなと思った
りもする。造船所で働く自分を空想したりもする。
作業服を着て、アルマイトの大きな弁当箱を自転車の後ろにくくり付け、鼻歌でも歌
いながら出勤する。家から10分位で着くから通勤も楽だし、雨がひどくても歩いて行ける。
帰りは酒屋で焼酎を引っ掛けて帰る。帰り着くまで酒屋が三軒あるから、月曜はこっち
の酒屋、火曜はあっちの酒屋と選ぶのも楽しい。
休みの日は、釣り竿もって造船所の岸壁から竿を垂れる。何も釣れなくてもいい。
ぼーっとウキを眺めたり、新聞読んだり、ワンカップでも飲んだり。
進水式の日は、振る舞い酒を浴びる程飲んで、べろんべろんになって帰る。自分たちが
造った船のデッキで飲む酒は相当うまいだろう。
造船所を眺めながら、そんなことを考えている。そんな、人生もいいなと思ったりする。
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