Saturday, December 13, 2008

義父

IMG_4579.JPG by you.

 義父の見舞いに行った。今年3度目の入院である。午後から一人で見舞いに行こうと、古本屋で古い雑誌を1册、和菓子屋で饅頭と金鍔を買って病院に行った。
 病室に入ると義父は新聞を読んでいた。音を立てないように静かに入り、ベットの横に置いてあった椅子にすっと座った。それでも義父は私に気付かず新聞を読み耽っていたので、しょうがなく声を掛けると驚いたように私を見た。
 話し相手が欲しかったのだろう。病状から社会情勢・年金問題まで延々と喋り、私は聞き手に徹することになった。話が一段落すると、私が持って来た雑誌に目を向け「歴史物か?」と尋ねた。買って行ったのは銀座の特集が組まれた古い雑誌である。銀座の雑誌だと言うと、もう銀座に行くこともないだろうと義父は言った。
 来年で義父は76歳になる。会社を引退したと同時に病気が発病した。私の父も同じように現役を退いて間もなく病に伏せた。戦後の復興に大きく貢献し、ひたすら働いてきた世代である。それゆえ、晩年は悠々自適に生きて欲しかった。
 私が帰った病室で、私が買ってきた雑誌を手に取って、「来年は元気になって銀座にでも行ってみるか」と思い立ってくれないだろうか。何か目標を持てば元気になるかもしれない。もうちょっと頑張って欲しいと思うのだった。





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