Saturday, June 02, 2007

目には青葉


  目には青葉 山ほととぎす 初鰹

 有名な山口素堂の句である。昨日からもう6月、5月はあっという間に駆け抜けてしまった。

 先週の土曜日、近所の魚屋から鰹のタタキを買って来て調理した。調理したと言っても、タタキにしてあるものを買ったのだから、盛りつけたと言うべきだろう。新玉葱を薄くスライスし大皿に敷き、その上に大葉を並べ、そして鰹を置いた。さらに鰹の上にスライスしたニンニクを乗せ、たくさんの小ねぎを振りかけ、最後にスダチを搾ってできあがり。遊びに来ていた義妹も「お兄ちゃん、美味しい!」と喜んで食べてくれた。

 一昨年、大阪に出張した際、定年間近の大先輩と飲んだ。その時大先輩が、この間、弟が鰹を一本ぶら下げて遊びに来て、鰹を肴に一晩飲み明かしたと話していた。
 私はその話を聞きながら、頭の中でその光景を想像して楽しんだ。兄は縁側に腰掛け、煙草をふかしている。すると、庭の向こうの田の畦のような道を遠くから男が歩いてくる。よく見ると弟だ。弟は嬉しそうに鰹を一本ぶら下げている。兄に近づくと満面の笑顔でその鰹を高く上げ兄に見せびらかす。
 兄と弟は台所に立ち鰹を捌く。やがて料理は出来上がり、テーブルに刺身やタタキが並ぶ。酒は焼酎である。ロックグラスに大きな氷を1個入れイモ焼酎をなみなみと注ぐ。
 気付いたらとうに日は暮れている。兄は弟に泊まれと言い、さらに酒を勧める。終いには兄弟二人出来上がって、ひっくり返って寝てしまっている。

 勝手に想像しながら、我が家にも誰か鰹を一本ぶら下げて来てくれないかと、うらやましく思ったのだった。    

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