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Originally uploaded by bonkley.
下北沢の行きつけのスナックで飲んでいたら、若い男がひとりで入ってきた。グレイのブルゾンにチノパンを履き、見た感じカタカナ職業系の人間だった。ちょっとセンスが良いお坊ちゃん風のその男は、初めてこの店に来たらしく、私の横に腰掛ける際に「はじめまして」と挨拶をしてくれた。
中年客の多い中で、その男はちょっと浮いた感じがしていた。奥の客が「矢切の渡し」を歌い出すと、その若者は、まだ1杯も飲み干していないのに、ママに勘定をしてくれと言い出した。どうやらショットバーと思って入ってきたらしい。ママとその若者のやりとりを横で聞いていた私は、この雰囲気が煩わしいのかと尋ねたら、その男は頷き「よく分かりましたね」と応えた。趣味に合わないかもしれないが、これはこれでいいもんだよと諭し、帰るのなら1曲歌って帰れと若者に言った。そしたら、逆に私が勧められ、私の曲を聞いたら失礼しますと言いだした。
私は、数少ないレパートリーの中から、吉田拓郎の「流星」を歌い、今度は若者がお返しに小田和正の「キラキラ」を歌った。決して上手ではなかったが、その若者の感じに合った曲だった。
歌い終え若者は帰っていった。2度と若者に会うことはないかもしれない。でも何だかまた会えそうな気がした。そして若者の歌う小田和正をまた聞けたらいいなと思ったのであった。
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