後輩の登山のリクエストのひとつは低山であったが、もうひとつはカキ小屋だった。カキ小屋とは、水揚げしたばかりのカキをバーベキューのように自分たちで焼いて食べさせるお店で、糸島の漁港ではこの時期、たくさんのカキ小屋が店を出す。
山を下りて1時間ほど歩き、ようやく岐志と言う漁港にたどり着く。この漁港には10店ほどのビニールハウスのカキ小屋が出ており、ちょうどお昼時とあってどの店もかなり込み合っていた。
適当に店を選び中に入る。どの店もメニューや料金にあまり変わりなく、カキはキロ当たり800円が相場になっている。1キロで大きめのカキが10個ほどになる。
まずはカキを1キロと車エビにサザエ、ヒオキ貝を2個ずつ注文。エプロンを着て左手に軍手をし右手にはトングを持ち、目の前の網で焼き始める。生きた車エビが網の上で踊る。エビに申し訳なさを感じながら、トングでひっくり返す。程なくしてカキがフタを開けて汁を吹き出す。素早くトングで取ってパットに置き、専用のヘラでその少し開いたふたをこじ開け、さらに殻の内側についた貝柱を取る。汁をこぼざないないように軍手をした左手でそっと持ち上げ、まずはその汁を啜ると口の中で潮の香りが広がる。そして一気に実を放り込むと、その潮の香りの中でさらに豊潤な世界が展開される。あまりの美味しさに、一瞬身体が硬直してしまう。
更にカキを1キロ追加。イカの一夜干しも焼き、最後にカキ飯にアラの味噌汁をいただく。ビール三杯飲んでお代はひとり約3千円。毎年カキ小屋に来ているが、やはり安い。ビールを飲まない人ならば、恐らく二千円も掛からないだろう。200%満足してカキ小屋を後にしたのだった。
No comments:
Post a Comment