博多のうどんを語るのならば、この店は外せないだろう。場所は上呉服町。店名を「みやけ」と言い、大博通りから少し入った路地で50年以上営業されている。
店に入ると一瞬タイムスリップしたような感覚に陥る。テーブル、カウンター、あらゆるものに50年の歴史を感じる。厨房の真ん中には、五右衛門風呂のような麺を茹でる大釜が鎮座しており、その釜に出汁が入った大きなとっくりが3本ほど入れて温められている。
注文したのはエビ天うどん。博多ではかき揚げ風の小エビの天ぷらを出す店が多い。これにいなりを2個頼み締めて480円。値上げもほとんどされていないのだろう。申し訳ないくらい安い。小振りのどんぶりには溢れんばかりに出汁が注がれ、その出汁の中に極太の麺がゆったりと横たわっている。これぞ博多うどんの典型である。
近くに承天寺と言うお寺がある。実はこのお寺がうどんの発祥地とされている。宋時代の中国に渡った承天寺の聖一国師が1241年に帰国した際、博多織や饅頭、うどん、そばの製法技術を持ち帰ったと伝えられており、境内の隅には「饂飩蕎麦発祥之地」という碑が建っている。
最近、博多ではちょっとしたうどんブームであり、様々なスタイルのうどん屋が多く出店している。ほとんどの店が腰のある讃岐風の麺を売りにしており、昔ながらの博多うどんを食べさせる店が徐々に少なくなりつつある。長い歴史の中で、食文化も様々な変遷を辿り進化していくのだろう。恐らくその昔、聖一国師が中国から持ち帰り伝えたうどんも、現在私たちが食べているうどんとは全く違ったものだっただろうと思う。それはそれで仕方がないことではあるが、うどん一杯の中にも故郷を感じるような、いつまでもそんな一杯であり続けて欲しいとみやけうどんに思う。目の前に置かれたどんぶりを見つめ、少しほっとした気持ちになったのだった。
6 comments:
博多うどん、だいすきです〜。
博多ネギをたっぷりとのせて。
でも悲しいかな、子どもの頃に食べたっきりです。
きっとわざわざ探せば、東京にも店舗があるんでしょうね。
そうなんですか、博多なのに、讃岐うどん?
残念だな〜。
mimimoriさん
確か八重洲地下街にあったと思うのですが...
今もあるかどうか分かりません。
そう言えば東京は武蔵野うどんなるものがありますよね。
東京に住んでいた頃、調布かどこかで食べたことがありますが、美味しかったですよ。
シンプルなうどん、いいですね。
私も歴史あるお店は大好きです。
50年も続いたお店のうどん、さぞかし美味しかった事でしょう。
伝統のあるうどん。
おいしそうです。
うどんとそばの発祥の地が博多にあったのですね。
麺類が無い食事というのは考えられないほど普及していますから、この発祥の地は大事な所だと思います。
うどんが食べたくなりました。
Miluさん
もちろんおいしかったですよね。
日本のうどん屋のようにイタリアにはスパゲッティー屋が
あるのでしょうか?また、駅のホームに立ち食いパスタとかあるのでしょうか?
多分無いですよね...
ondoyamaさん
そうなんです。うどん・そばの発祥の地は博多なんですよ。
でも、今のように麺ではなく、そばがきのようにして食べていたのではないでしょうか。
つるつるしこしこではなかっただろうと思います。
Post a Comment