Saturday, March 07, 2009

平野国臣のこと

IMG_8057.JPG by you.

 三月に入った。今週は会社関係の葬儀参列で日曜日からバタバタし、あっという間に1週間が終わった。今日、ようやく休みをとって、カメラ片手に近くを散歩した。
 自宅近くの丘に平野国臣の銅像がある。人知れずその銅像は建っており、恐らく近所の人しかその存在を知らないだろう。引っ越して間もない頃、散歩の途中に偶然私も発見したが、それ以来、時折その丘にのぼり、斜面を彩る花々の写真を撮っている。
 そもそも、平野国臣なる人物を知る人も少ないかもしれない。平野国臣は福岡藩出身の数少ない勤王の志士であり、作家の海音寺潮五郎は、坂本龍馬・高杉晋作に平尾国臣を加え幕末快男児のベスト3と評している。平野は義侠心旺盛な気骨溢れる九州男児の典型のような男だったらしい。西郷隆盛をはじめとする幕末の志士たちからの信頼も厚く、西郷が入水自殺を図った時、助け出したのも平野であり、もし、平野が西郷を助け出さなかったらな、幕末維新の有り様も少し違ったものになっていたかもしれない。
 ただ、平野にとって宿命的に不運だったのは、佐幕派の福岡藩に生まれたことだった。もし、長州か薩摩にでも生まれていたら、捕らえられて獄中で死ぬことはなかっただろう。享年37才。無念のままに平野は世を去った。彼が詠んだ有名な歌がある。平野国臣を知らなくても、彼が読んだこの歌には聞き覚えがある人も多いだろう。平野は捕縛から逃れ薩摩に入国しようとしたが叶わず、この歌を詠んだらしい。


    我が胸の燃ゆる思いにくらぶれば 煙は薄し桜島山


 春まだ早い丘に立ち、ひとり平野と向かい合う。何かを叱咤され、何かを励まされた思いで、来た道をまた戻ったのだった。







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