Sunday, September 28, 2008

背中


仕事帰り、暮れてゆく海を見つめながら、ああ今日も一日が終わっ

たと煙草を吸うのは、何十年も続く儀式なのだろうか。港の風景に

男の背中が溶け込んで見える。

いい背中をしている。正直に生きてきた男の背中をしている。


Saturday, September 27, 2008

曼珠沙華


 曼珠沙華。ちょっと不吉な美しさを感じるのは何故だろう。




Tuesday, September 23, 2008

切り抜くこと


いかに上手く切り抜くかなんですよと、若い写真家は僕に言った。

その言葉を意識して切り抜いてみたら、そこにさらに切り抜かれ

た緑があった。なんだか可笑しかった。 





Sunday, September 21, 2008

大平山

 写真は門司港「大平山」のラーメンである。木曜日仕事で門司を訪れ、閉店間際に駆け込み、何とか食べることができた。信じられないがこのラーメン屋は17時が閉店なのである。
 目の前にどんぶりが運ばれてくる。まずスープを一口いただく。純粋な豚骨ではない、鶏ガラとの合わせのようである。全体的にまろやかで甘みのある美味しさを感じる。トッピングは焼豚、もやし、ネギ、それに支那竹。支那竹が標準のラーメンは福岡では珍しい。
 最近のラーメン屋ははったりが多い。麺の湯切りのパフォーマンスや、”究極”だの”至高”だの言葉を乱発し自画自賛しているが、肝心の味は薄っぺらで深みが無い。美味いものを食べさせたいという思いは感じられず、ただ手っ取り早く金儲けのためにやっているような店ばかりである。
 そんな中でこの大平山は創業40年の歴史に裏付けされた、本物のラーメンである。町外れにひっそりと佇む名店である。さぞかし休日は家族連れで混み合うのだろう。しかし、繰り返し言うが閉店は17時である。せめて19時にして欲しい。そうすれば、また出張の時に行けるから。




Monday, September 15, 2008

メリーゴーランド


 信じられないかもしれないが、大濠公園のミスタードーナツには

 メリーゴーランドがあるのです。

 真夜中、馬たちはお店を抜け出して大濠公園の池の回りを走って

 いるのです。というのは嘘だけど、大濠公園のミスタードーナツに

 メリーゴーランドがあるのは本当です。いつもグルグル回っていま

 す。

 

Sunday, September 14, 2008

灯籠


 お城へ月を見に行く途中、灯籠が道を照らして私らを誘った。

 それは、月よりきれいだった。

 

 

  

Sunday, September 07, 2008

プーラールおばさんのクッキー


 写真は姉から土産にもらったモン・サン・ミッシェルの名物クッキー、通称プーラールおばさんのクッキーである。私も一度はモン・サン・ミッシェルに行ってみたいと思っているが、あいにく金も暇も持ち合わせていないので、老後の楽しみにと思っている。
 私は日常、あまりクッキーを食べることはない。クッキーよりも煎餅、ケーキよりも饅頭を好む、生来の日本人である。しかしこのクッキーは美味しかった。私が普段口にするクッキーはどれも甘過ぎ味が気取っているが、このクッキーは素朴で押し付けがましくない味なのである。美味しい美味しいと家族四人で言いながらあっという間に平らげてしまった。なので、残念ながら中身の写真はないのである。
 このクッキーの創始者プーラールおばさんは1852年に生まれたらしい。日本ではペリーが浦賀に来航する前年である。モン・サン・ミッシェルは元来修道院であるが、フランス革命から1865年までの間、監獄として使用されていたらしい。プーラールおばさんが島のパン屋に嫁いだ頃は、ようやく修道院として復活し島が息を吹き返した、そんな時代ではなかったかと思う。そして再び賑わいを見せた島で、プーラールおばさんは巡礼者をもてなすためにホテルを開業する。それが
”ホテル ラ・メール・ プーラール”である。このホテルはクッキーもだが料理も有名であり、オムレツもまたもモン・サン・ミッシェルの名物となっている。
 姉からもらったクッキーの空き缶を眺めながら、ホテル ラ・メール・ プーラールでオムレツやサン・マロ湾の海の幸を食べながらワインをぐいぐい飲んでいる自分を想像した。空想のフランス旅行を楽しんでみたのだった。


 

Saturday, September 06, 2008

代々木

 金曜日、代々木にいた。打ち合せが予定より早く終わったので、予約した飛行機までの約2時間、急遽代々木に事務所を構える友人に会いに行った。
 ひとしきり喋り終え事務所を後にした。気付いたらもう薄暗くなっていた。瀟酒な四丁目の住宅街を抜け三丁目の信号に出て駅へと向かった。ここを真っすぐ行けば代々木駅に突き当たる。左手には細い路地が入り込み、路地の奥から飲み屋の灯りが漏れる。新宿の喧噪が嘘のようにひっそりとしている。新宿に勤めていた頃小田急で通勤していたが、時間があればひと駅前の南新宿で下車し、この界隈をぶらぶらしながらよく会社まで歩いた。
 駅に向かいながら当時のことを思い出していた。上の娘がまだ小学校2年生だった。会社帰りに東急ハンズでおもちゃを買って帰ったり、紀伊国屋で本を買って帰ったりしてあげていた。そのころから5年の時が過ぎた。また東京勤務になることはあっても、もう東急ハンズでおもちゃを買って帰る必要は無い。
 ホームに立ってそんなことを考えていたら堪らなく淋しくなった。無性にあの頃へ戻りたくなった。予期せず代々木を歩いて、私はふと、娘たちと縄跳びしたり、ブランコに乗ったり、雪だるまを作ったりしていたあの頃へ戻りたくなった。

Monday, September 01, 2008

公園のペリカン

 8月最後の昨日、いつもの休日通り自転車に乗って写真を撮って回った。浜辺の写真や天神の街角など色々撮ったが、どれも気に入らない。一枚だけ残ったのがこの写真だった。写真は近所の小さな公園で撮ったのだが、このペリカンの顔が何とも言えず良い。私には、夏休み子供の相手に疲れ果てたように見える。
 今日から二学期。ペリカンは昨日まで来ていた子供たちが来なくなって、一息ついているのではないだろうか。と同時ちょっと淋しく思っているのかもしれない。長年連れ添った夫婦のように隣りのイルカ(?)と遠くを見つめ、言葉少なにこの夏あった出来事を回想しているように見えたのだった。