Saturday, November 25, 2006
電柱
また出張で東京に戻った。2週間ぶりの下北沢。路地裏の電柱さえも愛しく感じてしまう。
今夜はちょっと冷え込んだ。気が付けば来週はもう12月。今度はいつ来れるのだろうか。次に来る時はコートを着て歩いているだろう。
Saturday, November 18, 2006
六六軒
久しぶりに母と姉と3人で食事に行った。食事と言ってもラーメン屋なのだが、私の住む町に昔からある、地元では人気の店である。私も高校生の頃、学校帰りによくお世話になった。店名を「六六軒」と言う。由来は知らないが変わった名前である。
私が確か小学校3年くらいの時に開店したから、もうかれこれ30年以上続いている。店の主人は今の店を開業する前豆腐屋で働いていた事があり、当時食料品の販売を行っていた我が家に毎朝豆腐を卸しに来ていた。当時から真面目で実直な方だった。
かなりお客さんが多いが、いつも夫婦二人でこなしている。10人も入れば一杯になるような店だが、決して店を広げようとはしない。最近駐車場を広げたが店舗の方はそのままである。夫婦ふたりで、ひたすら作っている。二人で手抜きをせずに作るには、この広さが限界だということを店主は知っているのである。 その欲のなさというか、身の丈をわきまえた生き方が偉い。
厨房を覗いたら奥さんもご主人多少老けられたようだが、元気に働かれていた。中華鍋を振り回す音が店内に響き、ちゃんぽんを食べながら昔と変わらぬ光景を嬉しく思ったのだった。
週末の夜
九州に帰ってはじめての週末の夜を迎えた。帰ってきて2回目の金曜だったが、先週は東京に出張だったため、実際には昨日がはじめての金曜となった。
9時まで残業をして会社を出た。このまま家路に着くには淋しい。東京にいたころは金曜は必ず飲んで帰った。たとえ一人でも飲んで帰った。
会社を出て福岡の友人に電話したがつながらない。しょうがなく電車に乗り、今度は電車の中から近所の友人に電話したがこれもまたつながらない。急に孤独感に襲われた。一緒に飲んでくれる奴がいない。暖かく迎えてくれる店もないのだ。
駅について一人焼き鳥屋に入りビールを飲んでいたら、ようやく近所の友人から電話が掛かってきたので、場所を変えて飲むことにした。店を出て、私が住んでいる町の数少ないバーの前で友人を待った。店に入って待てば良かったのだが、一人でドアを開けるのが恥ずかしかった。
ようやく友人のTが自転車に乗って現れた。Tの後に付いて店に入り、そこで1時間ほど飲んで店を出た。もう1軒行こうとTが言いだしたので、Tの自転車に二人乗りして人気のない商店街を次の店へ向かった。
二人乗りをするのは何年ぶりだろう。高校の頃、付き合っていた彼女を自転車に乗せ、よくこの辺りをぶらぶらしたものである。遠い昔の淡い記憶が甦った。
結局、2軒目のバーで1杯だけ飲んで帰った。写真はそのバーで撮ったものである。友人と飲むのはもちろん楽しい。しかし、基本的には男はひとりで飲むべきである。ひとりでバーに行くべきだと思う。止まり木に腰掛け、居合わせた見ず知らずの客と会話し、その人の人生を垣間見る。これがバーの面白さなのだ。
早く自分の店を見つけなければいけない。夜は堪らなく淋しいのだ。
Sunday, November 12, 2006
出張
写真の女性は私にいつもお酒を飲ませてくれる、下北沢のバーのオーナーである。
金曜から出張でまた東京にいた。会社の仲間と六本木で飲んだ後、この店をひとりで訪れた。既に店内は常連のTさんとKさんが来ていた。
実は先週の金曜日、東京タワーに行った帰りに、この店を家族4人で来たばかりであった。
その時娘たちはオレンジジュースを、家内はカクテルを飲んだ。家内がオーナーにいつも主人がお世話になっていますと挨拶をしていた。家内は久しぶりに行くバーに、娘たちは初めて経験するバーの雰囲気に少々興奮していたようだった。
隣り座っていた常連のTさんから頂いた焼き鳥を頬張りながら、小学校2年生の娘が私に、「パパはいつもここで飲んでんの?」と不思議そうな顔をして聞いた。何が不思議だったのだろう。恐らく、夜の下北沢に立ち並ぶ怪しげなバーの数々、狭いバーの中に広がる癒されるような雰囲気、そして何だか得体の知れないお客さんたち。すべてが不思議な世界だったのであろう。
店を出た後、また下の娘が「パパがいつも行く店はあと何軒あるの?」と聞いた。あと3軒位あるかなと私が答えると、いつもクールな下の娘は、ふーんと無表情に頷いていた。そんなことを聞いてどうするのだろう。他の店にも連れて行けとでも言うのだろうか。
結局この日も終電近くまで飲んで家族が待つ家に帰った。常連のTさんは明日FC東京のサッカーの試合を見に行くんだと終止嬉しそうにしていた。
今度はいつ来れるのだろうか。次の出張のため用事を作らなければならない。2週間後位に来れるようにね。
Saturday, November 11, 2006
櫛田神社
九州に帰った。博多に帰った。
水曜日、外出する機会があったので、ついでに博多の町をちょっとドライブした。うろついていると櫛田神社に出会した。
櫛田神社は博多の氏神であり、博多の総鎮守として古くから信仰されている神社である。有名な博多祇園山笠はこの神社の祭事になる。
駐車場に車を停め、同行していたスタッフと二人で社に向かった。最後に櫛田神社を訪れたのはいつだろう。境内を歩きながら思い出してみた。恐らく、上の娘が生まれた頃、そのころ父が病に伏し、母と二人で病院に父を見舞いに行く途中訪れたのが最後だろう。もう11年も前のことである。11年間で4回引越しをし、そして振り出しに戻ったのである。
お詣りを済ませ、空を見上げた。秋空に、博多総鎮守ののぼりが風に吹かれ旗めいていた。僕はしばらく足を止め、そのヒラヒラとそよぐのぼりを見上げ、帰って来た、いや、還ってきた実感に浸ったのであった。
Saturday, November 04, 2006
東京タワー
東京最後の思い出に、家族で東京タワーに上った。私は明日九州に帰る。家内達は来年3月、学年終了後帰らせることにした。暫しの間お別れである。
金曜日、我が部の最後の終礼を行った。部長が会議室で終礼をしようと言った。部長がまず挨拶をし続いて私が挨拶をした。途中で涙が出てきて、言葉に詰まった。スタッフも泣き出した。部長もハンカチを取り出した。このスタッフと4ヶ月しか仕事をしなかったが、この4ヶ月スタッフには苦労のかけっぱなしだった。徹夜が続いた時もあった。やかましく叱ったこともあったが、嫌な顔ひとつせず連いてきてくれた。スタッフに助けられ無事プロジェクトを成功させることができたのである。最後に私が「解散!お疲れさまでした。」と締めくくり会議室を後にした。
夜景が果てしなく眼下に広がっている。車のテールランプの赤が延々と続いている。暫し東京ともお別れである。この夜景ともお別れである。
東京よありがとう。出逢った人たちよありがとう。
そしてまた逢う日まで。