Saturday, October 07, 2023

雲仙ハム

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 先日、居酒屋で雲仙ハムのハムカツを食べた。近年、居酒屋のメニューで雲仙ハムをよく見かけるようになった。
 雲仙ハムは厳密に言えばハムではなくソーセージである。主に島原産等の国産の豚で昔ながらの製法で作られているらしい。豚の旨味が強く感じられるソーセージで、「雲仙」と言う響きに何だか高級感を感じる、居酒屋のメニューの中で少しハイカラな存在である。

 雲仙ハムは商品に添えられている案内書によると、戦前、創業者が大陸にて白系ロシア人からその製法を学んだらしい。
 明治期、雲仙では外国人向けのホテルが開業し、日清戦争後はハルピン、ウラジオストクからのロシア人避暑客で賑わい、「西の雲仙、東の軽井沢」と称された時代があった。またプチャーチンの時代から日露戦争までは、ロシア極東艦隊が越冬のために長崎に寄港していたらしく、足を伸ばして雲仙まで湯治に来ていたようである。

 ここからは私の勝手な想像だが、創業者は雲仙を訪れたロシア人と交流を深め、ウラジオストックに渡りこのソーセージの作り方を学んだのだろう。
 創業者は日本海を渡りウラジオストックに上陸し、そこで西洋を目の当たりにする。ソーセージなるものを初めて口にしその旨さに驚き、製法を教えてもらったのではなかろうか。そのような交流が昔あったことを思うとロマンがあり、実は戦前の方がグローバルな社会だったのではないかと思ってしまう。

 そう言えば昔、会社に島原出身の女子社員がいて、祖父はロシア人と言っていたことを思い出した。今にして思えば、このような雲仙・島原地方の歴史的な交流の中に彼女のルーツもあったのだろう。

 今度雲仙ハムを食べる時は、そんな海を越えたロマンに思いを馳せながら、雲仙ハムを食べてみたいと思う。



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