Monday, December 07, 2015

川崎屋食堂にて

すべての写真-405

 富岡製糸場を後にして駅に向かう。そろそろお昼時である。キャリーケースをごろごろと引きずり、飲食店を物色しながら上州富岡駅を目指す。上司が途中、ここはどうかと言う店があったが、私が却下する。私は駅を降りた時から、お昼は駅前の川崎食堂と決めていた。
 ようやく駅前に着く。表のショーウインドを見てカツ丼に決める。店内に入ると壁に富岡名物のヒレ肉のカツ丼だと張り紙がある。やはりカツ丼で間違いないのである。ビールを飲みながら待つこと10分。出て来たのが写真のカツ丼である。
 普通、カツ丼と言えば卵とじになっているが、富岡名物のカツ丼は、醤油味の少し甘めのタレで軽く煮たカツが、ご飯の上に乗っかっている。サクサクとしたカツは、タレの甘さも程よく、全体的にさっぱりとしてて食べやすい。こんなカツ丼もあるんだと感心しながら、カツ一口につきご飯三口くらいのペースで、ゆっくりと食べ進める。 
 横のテーブルでは若いカップルが、幸せそうに語らいながら食べている。男はオムライス、女はカツカレー。家庭的なカツカレーが実に美味しそうに見える。後から入って来た家族連れの客は、みんなでメニューを覗き込みながら、何にするかうれしそうに悩んでいる。
 そんなほのぼのとした空気の中でカツ丼を食べ進める。土曜日の昼下がり、川崎屋食堂ではささやかな幸せが店内に充満していた。





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