Saturday, January 11, 2014

ココア




 三連休の初日、博多の十日恵美須へお詣りに行って、ぶらぶらと町中を散歩した。今日の福岡の最高気温は7°。晴れてはいるものの気温は上がらず、足下からしんしんと寒さが這い上がってきて肩まで冷やした。
 散々歩くが一向に身体は温まらない。寒さと疲れに歩くのを止め、天神から地下鉄に乗って六本松の行きつけのSaredo Coffeeで暖を取ることにする。いつもならコーヒーを頼むところだが、どうにもコーヒーでは暖まりそうな気がせずココアを注文した。

 私がまだ小学生だった頃、冬、学校から帰るとココアをよく飲んだ。カップに森永のココアパウダーと砂糖を入れ、ストーブの薬缶からお湯を注ぎ、炬燵に入ってペースト状に練り上げてココアを作った。今にして思えば面倒だが、美味しいココアを飲むための手間を、少年であった私は惜しまなかった。
 そう言えば、初めて喫茶店で注文したのもココアだった。中学一年生の冬休み、友人と久留米の映画館にジョーズを観に行った帰り、恐る恐る少年三人で入った喫茶店でココアを飲んで、少しだけ大人になったような気がした。恐らくココアには誰もがそんなあどけない思い出を持っているだろう。

 今、中学三年生の娘が夜遅くまで受験勉強をしている。頑張っている娘に私は時々ココアを入れてあげる。もしかすると娘のココアの思い出に私が登場するかもしれない。いや絶対父が入れたココアの味を娘は忘れないだろうと、馬鹿な父親は思うのだった。





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