Saturday, January 25, 2014

小鍋立て




 昨日、仕事を終えて同僚と居酒屋で鍋をつついた。写真がそれであるが、鰯のつみれ鍋である。鰯のつみれに豆腐、油揚げ、長ネギにごぼうが入っており、冷えきった身体を温めてくれた。
 博多はもつ鍋のイメージが強いが、私が幼かった頃、もつ鍋はまだ普及していなかった。今でも年配の方の中には、もつ鍋を食べたことがない人は多い。大勢で賑やかに食べるにはもつ鍋も良いが、一人あるいは少人数でつつくにはもつ鍋は似合わない。池波正太郎の言うところの”小鍋立て”では具材は二品か三品、質素であることが粋なのである。

 薄暗い灯りの下にぐつぐつと小さな土鍋が音を立てている。それを眺めながら酒を舐めるように飲んでいる。さまざまなことを考えながら、黙って鍋を見つめている。煮えたのを見計らって静かに箸を入れ、やがて口の中に広がる美味しさに、ささやかな幸せを感じる。大袈裟かもしれないが、生きてて良かった、自分の人生も満更ではなかったと思わせてくれる。小鍋立てとは、そんな生きていることを実感させてくれる料理ではなかろうか。









No comments: