出張から一旦福岡に帰り、大学生の甥っ子を連れて金曜から私用でまた東京へ行く。二日目、用事を済ませてどこへ行こうか甥っ子と協議する。聞けば甥っ子、皇居も靖国もまだ行ったことがないと言う。高校の修学旅行で行かなかったのかと聞くと、北海道へスキー旅行だったとのこと。私の頃は高校の修学旅行で皇居へ行くのがお決まりのコースだったが、時代は変わったようである。
日本人ならこの二つは行かないといけないと言って、無理矢理皇居と靖国に連れて行った。敢えて写真の説明をするまでもないが、写真は九段下から上がって靖国神社を正面から撮ったものである。前方の人影にまみれて小さく大村益次郎の像が見て取れるだろう。
甥っ子と二人明治維新や第二次世界大戦の話しをしながら参道を歩く。ふと甥っ子が2年前に死んだ甥っ子の祖父の話しをし始めた。生前、志願して戦争に行ったと言っていたが、実は徴兵だったこと。なぜそのような嘘をつく必要があったかは分からない。彼はその嘘を通しながら戦後を生きたが、臨終に際し家族を集め長年嘘をついていたと詫びたらしい。それだけその嘘が彼自身を苦しめてきたのだろう。明るく陽気な人だっただけに、私はとても意外な気がしたのだった。
様々な思いを抱きながら、人々はこの靖国の参道を歩いている。それぞれの「戦争」を考えながら歩いているのである。暑かった遠い夏の記憶のように、鳴き止まぬ蝉時雨が脳裏で今も鳴り続けているのである。
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