Sunday, March 14, 2010

妻の誕生日

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 12日金曜日、妻の誕生日だった。早めに仕事を切り上げ、会社近くのケーキ屋でバースデイケーキを買って帰り、家族四人でささやかに誕生日を祝った。
 形ばかりにケーキの蝋燭に火を点け「Happy birthday to you」を歌う。妻が火を吹き消し、ケーキを切り分ける。娘たちはイチゴを載せろだとか、ブルーベリーはいらないだとか相変わらず好き勝手なことを言っている。ようやく切り分け食べ始めたら、家内がしきりに携帯を気にしている。「メールが来ないな〜 」と誰かからのメールを待っているのである。そのメールを待っている相手は妻の父だった。
 義父は肝臓を悪くしここ数年入退院を繰り返している。今年も正月を自宅で迎えた後はずっと入院したままであり、最近はトイレへひとりで行くこともままならず、それに加え痴呆もひどくなってきた。そんな義父だが、昨年までは家内の誕生日に「おめでとう」とメールを送ってくれていたらしい。
 昨年から病状は深刻化しており、とてもメールが出来る状況とは思えないのだが、それでも家内は父からの「お誕生日おめでとう!」と言うメールを待っていたのである。「もう、お父さんからメールは来ないのかな...」と携帯の画面を見つめている妻を見て、私も少し切なくなってしまった。
 義父の誕生日は今月の23日である。家内は義父にお祝いのメールを送るだろう。義父からは来なかったけれど家内は送るだろう。もしかすると、家内が送る最後のメールになるかもしれない。そのメールを読んで義父は、何を考え何を思い出すのだろうか。そんなことを考えているとやり切れなくなった。



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2 comments:

sumiretti.com said...

奥様のお誕生日
おめでとうございました♪
色とりどりのフルーツを散りばめた
お洒落なバースデーケーキですね!!
盆さんと奥様の想いはきっとお父様に
届いているはずです。

bonkley said...

コメントありがとうございます。
女房がちょっと可哀想に思えたのでブログに書きました。
もうちょっと長生きしてくれるといいのですが...