気付かないけど、世界のあちこちで時は止まっている。
2008年5月25日の午前8時3分
レンゲの丘のマガモとハトの間で時は止まってみせた。
それはわずかな時間だった。
そして僕はランチに迷う・・・
土曜・日曜と出勤したので、月曜日の今日振り替えで休みを取った。朝から免許更新に行って、今、誰もいないリビングで一人この記事を書いている。そろそろ梅雨入りだろうか。外は断続的に激しく雨が降っている。
実は今日は私の誕生日である。何回目の誕生日なのかあまり言いたくないが、次のオリンピックがある年には五十に手が届いている。そんな歳である。
先週の火曜日、とある男と話しをした。その男はこのゴールデンウィークに死ぬつもりだったと私に打ち明けた。以前から彼が鬱病に悩まされていたのは知っていたが、彼は希死の思いに捕われていたのである。
私は彼の話しを黙って聞いた。彼は死ぬ前に横浜に住む姉に会いに行き、そして自ら死に場所と決めていた湘南へと向かったらしい。そこは青春時代の思い出が詰まった、彼にとって大切な場所だったのである。だが彼は湘南の浜に立ち海を見ているうちに、もうちょっと頑張ってみよう、生きてまたこの海を見に来ようと気持ちを新たにし、帰ってくることができたのである。
一部始終を聞き終え私は彼を見つめた。彼は前より少しだけ明るい表情で私に笑ってみせた。彼に取り憑いていた何かが、湘南の海に洗い流されたのだろう。「よく戦ったな。」と私は一言だけ彼に言った。それが私には精一杯だった。
私は幸いなことに、彼のような思いに陥ることなく生きてきた。でもこれからもそうだとは限らない。誰も明日の事なんか分からないのだから。私は家に帰って彼の話しを思い返してみた。彼はもう大丈夫だろう。「もう少し体調が良くなったら飲みに連れていってください。」と彼は私に言っていた。梅雨が開ける頃には多分飲みに行けるだろう。そのときは何処に連れて行こうか。彼を優しく迎えてくれるようなマスターがいるバーを見つけておかなければ。
家族でどんたくを観に行った。娘たちはどんたくに全く興味がないようで、下の娘に至ってはどんたくがお祭りであることすら知らず、「でんたくって何?」とか言い出す始末である。
今年はディズニーのパレードがあると聞いて張り切って行ったが、どうやら通り過ぎた後のようで、ミッキーに会うことは出来なかった。しかし、様々な団体のパレードを楽しく見ることができた。写真に写っているパレードの人たちは、皆一様に楽しそうにしている。大勢の観衆の中を練り歩くのは、さぞかし気持ちのいいものだろう。
私が子供の頃、どんたくを観に行くのは一大イベントだった。博多へ行くこと自体がそもそも我が家では年に1・2回しかないイベントだった。最後に家族でどんたくに行ったのは中学1年の時である。たしか福岡博が大濠公園であった年だったと記憶している。家族と言っても母と上の姉は不参加、父と下の姉と私の3人で出掛けた。大濠公園で福岡博を見た後、川端通り商店街で私はビッグジョンのジーパンを買ってもらい、姉は新幹線の乗り入れで博多駅に新しくできた”デイトス”でビートルズの「レット・イット・ビー」のLPを買ってもらった。
あれから35年の時が過ぎ、気付いたら私はあの頃と父と変わらぬ年になっていた。