Monday, February 12, 2007

ハーモニカ横丁の占い師
































 三連休、東京にいた。久しぶりに家族で吉祥寺に出掛けた。

 ハーモニカ横丁を歩いていると、焼き鳥屋の脇の狭いスペースに、小さなテーブルを出してタロット占いの店が出ていた。占い師は30才くらいの女性で、その狭いスペースで静かに本を読んでいた。
 一旦はその場所を通り過ぎたが、その占い師が気になってしょうがない。普段は占いなどしてもらうことは無いのだが、遠ざかるにつれどんどん気になって行く。家内に「タロット占いって当たるんだろうか?」と聞くと、「そんなに気になるのなら観てもらったら。」と言われたので、引き返して占ってもらうことにした。ひとりで行くのは気恥ずかしかったので、娘二人を連れさっきの店まで戻った。

 店に着くと椅子に座らせられ、小さなカードに氏名・生年月日・星座・血液型を書かされた。次にテーブルの上の小さな水晶に手を当て、その上から占い師が重ねて手を置き、深呼吸を何度もさせられた。
 ようやくタロットカードの登場である。何度も何度もシャッフルし、シャッフルし終わるとひとつの山にカードをまとめ、それを更に三つの山に分けさせられた。占い師がそのカード取り、テーブルの上に並べて行く。過去・現在・未来、占い師は並べ終わるとしばらくその全体を眺めていた。まるで自分が書いた絵の品定めをするようかのに眺めている。「悪い結果が出ても遠慮せずに言ってください。」私がそう言うと占い師は「大丈夫です、私は辛口ですから。」とちょっと笑ってみせた。「正位置のカードが多いです。これは良いことです。」占い師はまずそう言って徐々に語り始めた。

 色んなことを言われた。照れるようなことも言われたが、耳障りなことも言われた。「3年後に仕事で試練が待っています。あなたの会社を取り巻く環境が大きく変わろうとしています。」占い師はそう言った。実際にそうだった。今、会社は大きな流れに吸い込まれそうになっている。これからどうなるか分からない。だから占ってもらおうと思ったのかもしれない。

 最後に占い師は「でも大丈夫です。もし、会社が無くなっても、あなたはあなたのやりたいことで食べていけます。そしてあなたは生涯仕事をしていますよ。」と言ってくれた。私はお礼を言って店を出た。やりたいことって何だろう? 好きなことはあるが、それを仕事にとは考えていないし、それで喰っていけるとは思わない。

 あと3年ある。3年の間に何かを掴まなければいけない。そう思いながら妻の待つ店へ急いだ。  

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