Saturday, April 13, 2024

Untitled

 4月3日午前7時15分 母が逝った。3月に入り容態が悪化し入院していたが、こんなに早く別れの日が来るとは思っていなかった。前日の夜、病院側の計らいで10分間だけ面会することができたが、その時でさえもまだ大丈夫と勝手に思い込んでいた。
 翌朝、会社に行こうと着替えようとしていたら、姉からLINEが届き母が息を引き取ったことを知った。享年88才だった。

 慌ただしく葬儀を済ませ霊柩車で火葬場へ向かう途中、あちこちで満開の桜を目にした。毎年この時期になると車椅子の母を連れ出し桜を見に行っていた。
 去年は旧佐賀線跡の桜並木を車椅子を押して歩き、母が大変喜んでくれたので今年も連れて行こうと思っていた矢先だった。今年の桜は見せてあげられなかったが、母が好きだった満開の桜の時期に、安らかに眠りにつくとができたのではないかと思っている。

 初七日を済ませ香典をくれた会社の後輩と飲みに行った。後輩から母親を亡くした心境を聞かれ、無条件に自分を肯定してくれる唯一の人がこの世からいなくなったと思うとたまらなく寂しい、と語ると後輩はひとときの沈黙の後に泣き出した。

 いつかこの日が来ることは分かっていた。その日はまだまだ先なんだと都合よく思い続けていた。今でも実家に帰ったらそこに母がいて、「おかえり」と私を迎えてくれそうな気がする。母がそこにいないことをやがて理解するのだろうが、それには少し時間が必要なようである。



No comments: