Sunday, February 02, 2014

中央線




 娘の大学進学が決まり、金曜から一人、娘のアパートを探しに東京へ行った。金曜日に物件の選定が終わると、土曜日、娘が通うことになる大学付近を歩いてみた。
 堀端の歩道を中央線を眼下に見ながら駅まで歩く。土手は桜並木のようであり、対岸には貸しボート屋が見える。喧噪から抜け出した穏やかな風景である。娘はこの景色を見ながら四年間この道を通うのかと思うと、なんだか少しうらやましく思えた。

 娘は他界した義父と同じ大学を選んだ。それはお祖父ちゃんとの約束だからと言って、娘は譲らなかった。その願いが叶って、娘はその大学に無事合格することができた。
 娘は四月からこの道を歩く。恐らく義父も歩いたであろうこの道を。桜舞い散る中、傍らに今は亡き義父がいて、娘と語らいながら歩く風景を想像しながら駅まで歩いた。







1 comment:

三鷹の隠居 said...

お嬢様の大学進学、おめでとうございます! 父親としては心が痛むのではないですか? 私にはとても娘の父親はつとまりません。