
今や全国的に有名になった博多ラーメンの店がいくつかある。この間、娘たちが食べたいと言ったので、久しぶりに車を走らせ食べに行ったが、残念だがとても美味いとは言い難い代物になっていた。行列ができるほどの店だが、もうこの行列に並ぶことはないだろうと思った。
その一方で人知れず頑張っている店がある。場所は姪浜(福岡市西区)、屋号を「てっちゃん」と言う。姪浜の路地にひっそりと暖簾を下ろしている。写真がそのてっちゃんのラーメンである。
朝8時前からカメラを持って家を出る。恥ずかしいことだが2年前から特定保健指導、いわゆるメタボ指導を受けており、週末2時間歩くことを自分に課している。そもそも歩くことは苦にならないが、これを義務づけて週末は2時間ぶらぶら歩いて写真を撮っている。おかげで今年の健康診断では、脂肪肝の汚名を返上することができた。
家を出て海岸線をひたすら歩く。地行浜、百道浜、室見川を渡って愛宕浜。そしてあらかじめゴールに決めいていた姪浜のてっちゃんにたどり着く。走行距離約8キロ。これだけ歩けば豚骨ラーメンを食べても、だれからも咎められないだろう。
時刻は11時45分。お昼時であるが店内には誰も先客はいない。店はカウンターだけで7席ほどの小さな構えである。店内には高齢のご主人がひとりだけ。「いらっしゃいませ」と丁寧に挨拶をされ、「申し訳ありませんが水はセルフサービスになっております。」とこれまた丁寧に言われる。ラーメン屋の主人らしからぬ接客にいささか恐縮してしまう。
ラーメンを注文し待つこと5分。出て来た一杯が写真のラーメンである。自慢じゃないが豚骨ラーメンなら、ひと目見ただけでどの程度の美味さか見当がつく。はじめてこの店を訪れたが、カウンターに出された一杯にしばし見とれていた。「写真を撮ってもいいですか?」と尋ねると、「どうぞ、どうぞ」と気持ちよく了解される。重い一眼レフをバックから出して10枚ほど写真を撮り、今度はiPhoneで数枚撮ってようやく箸を付ける。見た目どおりの美味しさである。深いコクに甘みのあるスープ。丁寧な仕事とセンスの良さがうかがえる。あとで知ったがこのご主人、元はフランス料理のシェフをされていた方らしく、なるほどと頷くスープだった。
麺はやわ麺である。敢えて固麺を注文をしなかったが、この柔らかさが主人が最も美味しいとする麺の固さなのである。昨今、特に若者の中で流行のバリカタやハリガネ、コナオトシなどエスカレートする固さに、このご主人は一石を投じているように思えた。
替え玉を追加したが、あっという間に食べ終えた。厨房の中のご主人はキャベツを小さく切っている。恐らく餃子用だろう。「餃子も自家製ですか?」と尋ねると、「はいそうです。」とにっこり答える。このご主人が作る餃子ならば、さぞかし美味しいだろう。「美味しかった。また、来ます。」と言って勘定を済ませ店を出る。「またお越しください。」と背中から聞こえる。
久しぶりに美味いラーメンを食べた。3時間かけて歩いたご褒美だと、ポッコリと膨らんだお腹を摩りながら駅に向かった。姪浜のてっちゃんは行列のできない名店である。
4 comments:
職場にアメリカ人夫婦がいるのですが彼らの故郷サンフランシスコではラーメンがかなりのブームだそうで、いつか日本に行ってラーメン食べ歩きの旅をしたいと言ってます。
ニューヨークの有名な店では予約しても数週間待ちなんだそうですよ。おいしいラーメンの為なら数週間待ちもいとわないほどのファンがいるなんてびっくりです。
でもラーメンって、そんな食べ物だっけ?とも思わずにいられません。ふらりと入って、ほっとしながら食べたいな。
bonkleyさんが太鼓判を押すてっちゃんにぜひ行ってみたいです。
梅さん
そんなにラーメンが人気なんですね。
梅さんが言うとおり、ラーメンは庶民の料理であり
予約してまで食べるものではないですね。
もつ鍋もしかりです。
帰国の予定はありませんか?
その際は是非福岡に立ち寄りください。
フルコースで案内しますよ。
こんな優しい人のいるお店なら女の人ひとりでも入れそう!
腹ペコで並ぶなんて考えられないけど意外とみんな並ぶのに抵抗無いみたいですよね。
新しい星が見つかってよかったですね。
餃子も楽しみだ。
でも何よりフォアグラ回避おめでとうございます!
見習いたい・・・いや、見習います!!
しろんこさん
フォアグラでなくなったことで、なんだか私の商品価値も無くなったような気がします。変な話しですが。
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