Sunday, June 01, 2014

襖絵




 知り合いの画家のRさんが、お寺の襖絵を描いているので、ちょっと覗きに行ってきた。場所は博多区上呉服町、山笠は東流を担ぐ由緒ある博多の町である。
 本堂に上がると、ご本尊の左右の脇間の襖にRさんが絵を描いていた。写真の襖はご本尊向かって右側の脇間の襖である。左からさくら、蓮と、季節が春から夏へ移り、そして、ご本尊右側の襖へ秋、冬とつながって行く。秋冬の襖は製作中であったが、完成すれば計8枚の襖に、凝縮された日本の四季が絵巻物のように描かれることになる。それはまるで、極楽浄土のような静かな美しさを感じる。
 恐らくこの襖絵は100年以上ここにあり続けるであろう。お詣りに訪れる人々を魅了し、あるいは安らぎを与え、きらびやかなご本尊とともにこの空間にあり続けるであろう。
 襖絵の前にあぐらをかいてその写真を撮りながら、不謹慎であるがここで酒を飲みたいと思った。お膳にお銚子と少しの肴。襖絵を眺めながら、静かに酒を酌み交わす。月あかりがわずかに本堂の縁側を照らし、蛙の鳴き声が遠くから聞こえてくる。さぞかし酒が美味しいだろうと、襖絵を眺めながら空想したのだった。





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