Sunday, May 19, 2024

端間駅

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  母の四十九日を終え西鉄端間駅近くの料亭で姉たち家族と食事を取った。端間駅は父の実家から1キロほど東に歩いたところにあり、戦後父は端間駅から福岡まで西鉄電車に乗って通勤していた。当時、福岡駅を出ると海が見えたと父が言っていたのを記憶している。父は天神で路面電車に乗り換え、職場があった千代町まで通った。やがて父と母は結婚し、一年ほど父の実家で両親や兄弟たちと一緒に暮らした。姉の話によると、ときどき母は端間駅まで父を迎えに行っていたらしい。
  
 食事会を終えて私と女房は、昔、父と母が歩いた道を駅へと向かった。六十年以上昔のことだが、新婚当時の父と母はどんな話をしながらこの道を歩いたのだろう。戦後の復興からようやく明るい兆しを見せ始めた頃である。恐らく、実家を出て二人で所帯を持つことなど、将来のことを話しながらこの道を二人あるいたのだろう。
 そんなことを考えながら駅までの道を歩いていると、その道がとても愛おしく思えたのだった。






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