
水城に行ってみた。
菜の花の写真を撮ろうと思い立ち、西鉄電車に乗ってひとり出かけた。
昔、このあたりに住んだことがあったが、いつも車で通り過ぎるばかりで、
水城の土塁を歩いたことはなかった。
菜の花は思ったほど咲いていなかった。
それでも春の陽射しを背に受け、西鉄都府楼前駅から東門までゆっくり歩いた。
白村江で大敗した日本は、唐と新羅の侵攻に備え、翌年大宰府の前に水城を築いた。
土塁は、わずか一年で完成したという。
その早さが、当時の恐怖を物語っている。
展望所に上り、あたりを見下ろした。
時代は流れ、やがて大宰府も役目を終えた。
結局、水城がその威力を発揮することはなかった。
土塁の草の中で、キンポウゲが一輪咲いていた。
小さな虫がとまり、春の光の中で、静かに揺れていた。









