Sunday, December 07, 2014

雲呑麺



 出張の合間、四ッ谷の「支那そば屋こうや」で雲呑麺を食べた。私は”支那そば”と言う言葉に弱い。大袈裟かもしれないが、支那そばという言葉に近代日本の歴史が凝縮されているような、大陸に馳せた先人たちロマンを感じてしまうのである。
 九州ではあまり支那そばという言葉を聞かない。支那そばと言えば関東系の醤油あるいは白湯スープをイメージしてしまう。雲呑麺も九州ではあまり見かけないし、ワンタンと九州系豚骨スープとの相性は関東の醤油ラーメンより劣ると思っている。
 蘊蓄はこの辺にして、この店、見ていると受ける注文の8割は雲呑麺であった。私も他のお客さんに倣って雲呑麺を注文した。熱々のワンタンが5個ほど乗っており、その熱きワンタンのおかげでスープが冷めない。布団の中の湯たんぽ的存在になっているのである。ワンタンを一個頬張っては麺を啜り、次第に汗がにじんでくる。ようやく食べ終えた頃には、身体から湯気が立ちそうなくらい温まった。
 勘定を済ませ店を出ると、師走の風が足下から吹いて来る。しばらくそれが気持ち良くてコートを手に持ったまま、ほっこりとした気持ちで駅へと向かったのだった。






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